金融業界 深刻な不祥事が次々に… “組織の問題”という指摘も

2024年12月30日 18時08分

金融業界ではことし、インサイダー取引や貸金庫から金品を盗むなど信頼を揺るがす不祥事が相次ぎました。従業員個人のモラル以外に不正を見抜けなかった組織の問題だという指摘もあり、信用を取り戻すための業界をあげた取り組みが問われることになります。

金融業界ではことし深刻な不祥事が次々と明らかになり、野村証券の社員が顧客に対する強盗殺人未遂と放火の罪で起訴されたほか、三菱UFJ銀行の行員は貸金庫から十数億円相当の金品を盗み取っていました。

また、企業の重要情報を扱う立場を悪用して金融庁では出向中の元裁判官がインサイダー取引を、東京証券取引所では社員がTOB=株式公開買い付けの情報を家族に伝えていたほか、三井住友信託銀行でも社員によるインサイダー取引の疑いが明らかになりました。

さらに生損保業界では代理店が関わる形で顧客情報の大規模な漏えいが次々と判明しました。

信頼を揺るがしかねない事態が相次いだ背景には、モラルの低下といった個々の問題にとどまらず、業界内のなれ合いや不正を見抜く態勢が機能しなかった組織の問題だという指摘も出ています。

貯蓄から投資の流れが広がり個人の投資家が増えるなど金融が身近になる中、不祥事を受けた個別の再発防止策だけでなく、信用を取り戻すための業界をあげた取り組みが問われることになります。